第26回(2009年度)渋沢・クローデル賞

渋沢クローデル賞の授賞式の模様です。

  

2009年度渋沢・クローデル賞 講評 (審査委員長・三浦信孝)
 
渋沢・クローデル賞は日本側とフランス側があり、フランスでは読売新聞社パリ支局のご尽力で審査選考が行われ、日本側に関しては日仏会館の学術委員会が審査にあたっております。今年度は、2007年1月1日より2009年3月末日までに出版された作品のうちから、14点の応募がありました。応募者の年齢が45歳以下という条件は従来通りで、応募作は日本語による単著または単独訳の翻訳書とし、フランス語の著作は対象外としております。これはすぐれた研究成果であっても、フランス語のままでは、「日本の読者の関心に応えるものとして紹介するにふさわしい業績」とは言えないからであります。フランス語で書かれた博士論文が増えていることはたいへん結構なことですが、日本の読者向けに日本語でも出版していただくことが、日本におけるフランス文化研究の普及と振興につながるものと考え、フランス語の著作は昨年度から対象外としております。

 

 

今年度の応募作14点のうち2点は年齢制限を越えるなど、応募要件を満たしておらず、審査対象から外しました。残り12点を分野別にみますと、歴史学が3点、哲学思想が2点、社会学が2点、政治学が1点、美術芸術が2点、文学が1点という内訳になっており、うち翻訳は1点のみでした。また2年つづけて応募された作品が3点ありましたが、これはルールに合致しており何の問題もありません。事実、昨年度は川島周一氏の『独仏関係と戦後ヨーロッパ国際秩序―ドゴール外交とヨーロッパの構築』が2度目の応募で受賞しております。

審査にあたっては、それぞれの作品を審査するにふさわしい専門家に査読をお願いして報告書を出していただき、同時にわれわれ学術委員のうちから副査を決めて評価を二重にしました。審査会は合議制とし、議論をつくして数点に絞り込み、最後は投票によって上位2点を受賞作としました。学術的価値が高く、しかも広い読者層に推薦するに足る良書ということで、第一に、その本のテーゼが明確かつ独創的であるかどうか、第二に、そのテーゼを論証する手続きが実証的で説得的かどうか、第三に、日本語の散文としてすぐれた文章かどうか、の三点が審査の基準になります。翻訳の場合は、翻訳の正確さと日本語としての質が重要ですが、訳者解説や原書そのものの価値も評価に影響を与えます。

今年度は、渋沢・クローデル賞本賞に藤原貞朗氏の『オリエンタリトの憂鬱―植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学』を、同じくルイ・ヴィトン特別賞に林洋子氏の『藤田嗣治 作品を開く―旅・手仕事・日本―』を選びました。

 

第26回(2009年度)渋沢・クローデル賞

藤原 貞朗氏

第26回(2009年度)渋沢・クローデル賞

ルイ・ヴィトン ジャパン特別賞 林洋子氏

 

 

 

最終更新 2010年 4月 22日(木曜日) 18:03
 

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