講演会・トーク

大津絵に見る庶民信仰の造形 アンドレ・ルロワ=グーランの研究をふりかえって(日仏文化講演シリーズ 第299回)

クリストフ・マルケ(日仏会館フランス事務所所長、INALCO)

“イベント詳細”

2016-06-13(月) 18:00 - 19:30
会場
日仏会館ホール
東京都渋谷区恵比寿3-9-25 渋谷区, 東京都 150-0013 Japan
日仏会館ホール
定員 120
参加費 日仏会館会員無料 一般: 1.000円 学生500円
事前登録
言語 フランス語(同時通訳あり)
主催 (公財)日仏会館
協力 日仏会館フランス事務所
後援 日仏美術学会

先史学者・社会文化人類学者のアンドレ・ルロワ=グーラン(1911-1986)は、ヨーロッパにおける旧石器時代の美術と宗教についての画期的な研究によって学界に注目され、1969年にコレージュ・ド・フランスの先史学講座教授となった。しかし、1937年〜1939年に国際学友会の第一期生として日本に招聘され、考古学的かつ民俗学的な調査を行ったことはあまり知られていない。彼は京都に長く滞在し、民芸運動の陶芸家・河井寛次郎らと交流した。膨大な収集品の中には絵馬、大津絵、御札、仏教版画、郷土玩具などがあり、庶民信仰の表象の研究資料とした。篆刻家で大津絵作家の楠瀬日年の版画集『大津絵』(1920年)や 民芸運動の主唱者、柳宗悦の『初期大津絵』(1929年)等の資料を参照しながら、大津絵や絵馬の図像データベースを作るなど、美術史とは違った観点からこれらの作品の表象を研究した。第二次世界大戦中には、日本で蒐集した資料を元に『日本の庶民信仰の造形』 という著書を書き始めたが未完のまま終わり、2004年になって遺稿として刊行された。また、1947年に、副館長を務めていたパリの人類博物館にてフランスで初めての民芸展を主催した。本講演では、ルロワ=グーランが残した収集品や原稿を元に、彼の独特な庶民信仰の表象の研究について考察する。