シンポジウム・デバ

変わりゆく海に臨む社会変革―海洋マイクロプラスチック問題を巡って(日仏科学講座)

【講師】フランソワ・ガルガニ(フランス国立海洋開発研究所)、シルヴァン・アゴスティーニ(筑波大学下田臨海実験センター)、クリスティーナ・バロー、(Surfrider Foundation Europe)、小松輝久(日仏海洋学会)、藤倉克則(海洋研究開発機構)、岩田忠久(日仏工業技術会)、井上貴司(山陽学園中学校・高等学校)、山陽学園中学校・高等学校地歴部2名
【司会】山崎 満((公財)日仏会館、国際基督教大学)

“イベント詳細”

2021-10-23(土) 15:00 - 18:40
会場 オンライン(en ligne)
参加費 無料
事前登録
言語 日本語、フランス語(同時通訳あり)
主催 (公財)日仏会館、日仏海洋学会
共催 日仏工業技術会
後援 仏日海洋学会、(公社)日本水産学会、(一社)水産海洋学会、日本海洋学会

※お申し込み方法についてはこちらのページをご参照ください。

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世界の海洋には、プラスチック廃棄物が毎年8百万トン流入しています。それらは、分解されず砕片化してマイクロプラスチックス(MPs)となり、海水中に溶存する有害な有機化学物質を吸着します。これらの化学成分は、MPs を摂食した生物の体内に吸収され(MPs そのものは排出されても、吸着していた化学成分が吸収されて体内に蓄積します)、さらに食物連鎖を通じて魚介類に濃縮、蓄積され、それを食べた人体にも取り込まれると考えられ、海洋生態系だけでなく人間の健康への悪影響も危惧されています。そこで、海洋における MPs 問題を手がかりとして、その歴史、現状の比較、日仏での市民による対策や活動、どのように社会を変えなければならないかを、シンポジウム参加者の方々とともに議論します。

 

 

【プログラム】

15:00-15:05 挨拶および講演者紹介、趣旨説明 
山﨑満(日仏会館、国際基督教大学)、小松輝久(日仏海洋学会会長)

15:05-15:35 「プラスチックの海」
フランソワ・ガルガニ(フランス国立海洋開発研究所)

15:35-16:05 「行方不明のプラスチックを追う」
藤倉克則(海洋研究開発機構)

16:05-16:35 「Tara Jambio マイクロプラスチック共同調査:科学、教育、アートと共有」
シルヴァン・アゴスティーニ(筑波大学下田臨海実験センター)

16:35-17:05 「海洋マイクロプラスチック汚染に対する戦い: 市民活動から基準設定まで」
クリスティーナ・バロー(Surfrider Foundation Europe)

17:05-17:35 「瀬戸内海の海洋ごみ問題の解決に向けての取り組み-問題の「自分事」化に向けての実践」
山陽学園中学校・高等学校地歴部:井上貴司(顧問)、生徒2名

17:35-18:05  「海洋で分解するプラスチックの開発と将来展望」
岩田忠久(東京大学、日仏工業技術会会長)

18:05-18:35 総合討論
司会:山﨑満(日仏会館、国際基督教大学)

18:35-18:40 閉会の辞
小松輝久(日仏海洋学会会長)
 

 

 

【登壇者プロフィール】 

フランソワ・ガルガニ
1983年に博士号を取得。フランス国立海洋開発研究所(IFREMER)のプロジェクト・マネージャー。25年以上にわたり、CNRS、Collège de France、IFREMER/Tahiti、Tokyo University of Fisheries、Stanford Univ.で、生態毒性、化学、海洋ゴミに関する研究とモニタリングに従事、70回以上の調査航海と110本以上の査読付き論文を発表しています。欧州委員会/DG ENV/MSCGの海洋ゴミに関する技術グループの議長(2011年~)、MEDPOLの海洋ごみに関する専門家グループの議長(2014年~2015年)、2013年よりCIESM委員会委員長(生物地球化学および生態毒性学)、その他の様々なEU/MEDPOLプロジェクトの科学的コーディネーター、産業活動と海洋ごみの化学的/毒物学的影響に関する様々な産業界/国家機関のプロジェクトのコーディネーターを務めています。海洋マイクロプラスチック問題の重要性を初期から指摘し、UNESCO-政府間海洋学委員会(IOC)とUNEP がつくる専門家のGroup of Experts on the Scientific Aspects of Marine Environmental Protection(GESAMP)で2012年から話し合われ、2016年からWorking Group 40海洋におけるプラスチックおよびマイクロプラスチックの委員長について世界の海洋マイクロプラスチック問題のリーダーとして活躍しています。

 

シルヴァン・アゴスティーニ
University of Aix Marseille II Center of Oceanology of Marseille Biogeochemistryを卒業後、2006年に来日し、2009年に静岡大学大学院理学研究科でサンゴの研究により博士 (理学) 号を取得しました。静岡大学、琉球大学で研究員を務めた後、2012年から筑波大学下田臨海研究センター助教に着任し、現在に至っています。2003年にフランスのファッションデザイナー「アニエス・ベー」氏らによって設立されたフランスで初めて海洋に特化した公益財団タラ オセアン財団は、スクーナー船であるタラ号を用いて2003年より環境調査と保護のための活動を行っています。Sylvain AGOSTINI博士は、タラ号太平洋プロジェクト 2016-2018に参加し、タラ号に乗船して地球温暖化、海洋酸性化がサンゴに及ぼす影響を研究しました。2020年10月からは、タラ財団とJapanese Association for Marine Biology; (JAMBIO)とが共同で日本沿岸のマイクロプラスチックの調査を開始し、その担当者として活躍しています。


クリスティーナ・バロー
サーフライダー・ファウンデーション・ヨーロッパは、湖、川、海、波、海岸線の保護と強化を目的とした非営利団体です。1990年に設立されたサーフライダー・ファウンデーション・ヨーロッパは、現場のコミュニティの情熱と献身により、海とその利用者を守るための活動の基準となっています。現在、15,000人以上のメンバーがおり、12カ国で活動しています。サーフライダーは、海中ゴミ、水質、ユーザーの健康、沿岸開発と気候変動という3つの主要な問題について、社会のすべてのステークホルダーと協力しています。クリスティーナ・バローは、「海中ゴミ」プログラムのコーディネーターであり、「プラスチックの波を打ち破れ」キャンペーンの責任者でもあります。彼女は、協会の欧州本部であるビアリッツに拠点を置いています。


藤倉克則
海洋研究開発機構上席研究員。栃木県足利市生まれ。東京水産大学(現・東京海洋大学)修士課程を修了し、学術博士(水産学)を取得しました。海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)に入所以来、有人潜水調査船「しんかい2000」や「しんかい6500」、無人探査機などを駆使して深海生物研究に取り組んでいます。現在は、海洋の生物多様性や海洋プラスチックにも研究対象を広げています。

岩田忠久
日仏工業技術会会長、東京大学大学院農学生命科学研究科教授。1966年山口県岩国市生まれ。京都大学農学部、同大学院農学研究科を終了し、1994年博士(農学)を取得しました。1992年から1993年までフランス政府給費留学生として、グルノーブルにあるフランス国立科学研究センター、植物高分子研究所に留学しました。1995年から日本学術振興会 PD 特別研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員、研究員、副主任研究員を経て、2006年東京大学大学院農学生命科学研究科准教授に就任しました。2012年から教授に昇任し、東京大学総長補佐を務め、現在に至っています。専門は、高分子材料学、生分解性バイオマスプラスチック、高分子構造です。近年は、海洋で分解する生分解性プラスチックの開発に精力的に取り組んでいます。今年、令和3 年度科学技術部門の文部科学大臣表彰(研究部門)を受けるとともに、日仏工業技術会会長に就任しています。


小松輝久
日仏海洋学会会長、公益社団法人日本水産資源保護協会技術顧問。京都大学農学部、同大学院農学研究科を終了し、1990年博士(農学)を取得しました。京都大学農学部助手を経て、東京大学海洋研究所助手に転じ、1997年同助教授に昇任しました。その間に、1992年から1993年までフランス政府給費留学生として、ニースソフィアアンティポリス大学理学部沿岸海洋生態研究室で、地中海に侵入した熱帯海藻イチイヅタの生態の研究に従事しました。横浜商科大学商学部教授の後、2020年から公益社団法人日本水産資源保護協会技術顧問に就任し、現在に至っています。2012年から日仏海洋学会会長を務めています。専門は、藻場の生態・環境の計測と生息場マッピング。2016年にフランス政府国家功労勲章オフィシエを受賞。

井上貴司
山陽学園中学校・高等学校地歴部顧問。岡山県にある山陽学園中学校・高等学校(前山陽女子中学校・高等学校)地歴部では、地歴部顧問教諭の井上貴司先生の指導で、2008年から瀬戸内海の海洋プラスチックや海底ごみの問題に着目し、地元の漁業者と協力して生徒たちと海のごみを回収する活動を続けています。ごみを持ち帰るだけではなく、生徒たちは回収したごみの中から出てきた物の製造年月日や製造場所なども調べて、いつどこで捨てられたものなのかも分析しています。地歴部の生徒たちは、調査結果をショッピングセンターや講演会などで発表し、海のごみの削減への市民の参加を訴えています。このような10年以上にわたる地道な活動が評価され、地歴部は、第21回日本水大賞(大賞)や、学校の部活動として初めての受賞となるジャパンSDGsアワード(特別賞)など、さまざまな賞を獲得しています。今回の発表は、井上先生と地歴部の高校2年生2名が行います。

 

山﨑満
日仏会館学術・文化事業委員会連携委員、国際基督教大学教養学部 アーツ・サイエンス学科教授。東京大学理学部卒、1990年同大学院数学科修士課程修了。1988-1990年パリ南大学 理学研究科 純粋数学 博士課程修了 高等研究修了証(D.E.A.)、1993年東京大学 博士(数理科学)およびパリ理工科学院 博士号(パリ理工科学院)を取得しました。筑波大学大学院数理物質科学研究科 助教授・准教授を経て、2007年から国際基督教大学教授に就任しました。専門は、双曲型保存則系、流体力学、非線形偏微分方程式です。

 

 

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