ごあいさつ

 日仏会館は1924年に設立されて以来、日本とフランスとの学術・文化の多面にわたる、豊かな交流の実績をあげてまいりました。設立の前年に関東大震災が起こるという、厳しい条件下でした。日本の近代化において超人的な活躍をなさった実業家渋沢栄一氏が、日本側の旗振り役を務め、みずから初代理事長に就任されました。フランス側では、詩人・劇作家として文学史に名を残すポール・クローデル駐日フランス大使が、みずから推進役を担ってくださいました。これは、まことに稀有な歴史的出会いがもたらした、価値ある出来事であったと言えるでしょう。

 

 今回、松浦晃一郎前理事長の任期満了ご退任をうけた後任として、この歴史豊かな日仏会館の第14代理事長として選任されましたことは、私にとってまことに光栄なことであります。松浦前理事長時代には、2014年に会館設立90周年事業を、多くの皆様からのご支援をうけて推進することができました。その成果を足場として引き継ぎ、2024年の設立100周年を目途としながら、今後とも一層、日仏間の有意義で、かかわった人びとの人生を豊かにするような、知的刺激に満ちた交流事業を進めていきたいと願っております。会員の皆様方のご支援、ご協力と、会館関連学会や各地の日仏協会の皆様方のこれまでにも増したご支援を、よろしくお願い申し上げます。

 

 日仏会館は、法律の改正に伴い、いちはやく2010年より公益財団法人に移行し、松浦前理事長のもとで、それまで以上に広く一般に門戸を開いた活動に配慮して、さまざまな事業を推進してまいりました。極めて多様な分野にわたる学術講演会や日仏シンポジウム、あるいは日仏のみでなくさらに多くの国々からも学者を招聘した国際シンポジウム、こうした学術的に高い水準を踏まえた活動もあれば、演奏などのパフォーマンスや映像、伝統技芸や現代文化に関わる公演やレクチャー、さらには現代経済の動向や時事的問題をめぐるディスカッションなど、世代も国籍も超えた交流を幅広く推進してきました。新たな運営体制においても、これまでの実績を踏まえて、さらに豊かな民間交流活動の実を上げていきたいと考えております。

 

 インターネットの普及に示されるような世界の結びつきは、これからますます進んでいくことでしょう。こうしたグローバルな関係の進展が、人びとを対立させるような不幸に陥ることのないように、その逆に、異なる文化や歴史を基盤とする各地の人びとがお互いを尊重して、多様性が相互理解と心豊かな発展につながるような世界を構築していくためにも、民間ベースでの学術文化交流は、ますますその意義を高めていくに違いありません。日仏会館は、そのような発展をめざして、日仏間の交流を基本としつつ世界の人びとの相互理解を豊かにするために活動を展開してまいります。どうぞ、皆様方の積極的なご参加と、ご協力とを、よろしくお願い申し上げます。

 

2016年6月17日

 

公益財団法人日仏会館
理事長 福井憲彦